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大阪地方裁判所 昭和58年(わ)5898号 判決

本籍

大阪市西淀川区御弊島四丁目三番地

住居

大阪市浪速区湊町一丁目二番一一号

会社役員

岡田進

昭和一〇年一月一日生

右の者に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官岩永建保出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役二年六月及び罰金六、五〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金一〇万円を一日に換算した期間、被告人を労役場に留置する。

この裁判が確定した日から四年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、中華料理、喫茶等の飲食業を営むとともに、大阪市北区堂島一丁目五番三五号所在の喫茶店「ホールイン」等に、いわゆる賭博遊戯機の遊技機を設置して客に遊技をさせていたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、

第一  昭和五五年分の所得金額が九三、九〇七、九八五円で、これに対する所得税額が五三、一二五、七〇〇円であるのにかかわらず、収支に関する記帳を行わず、いわゆると博遊技機による収入を架空人名義の普通預金口座に入金するなどして右所得の一部を秘匿した上、同五六年三月一三日、大阪市浪速区難波中三丁目一三番九号所在の浪速税務署において、同税務署長に対し、同年分の所得金額が一〇、一七五、六一一円で、これに対する所得税額が一三九、八〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、所得税五二、九八五、九〇〇円を免れ、

第二  昭和五六年分の所得金額が二四六、八九〇、四六〇円で、これに対する所得税額が一六八、六〇一、〇〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により、右所得の一部を秘匿した上、同五七年三月一五日、前記税務署において、同税務署長に対し、同年分の所得金額が一一、二九四、〇三〇円で、これに対する所得税額が一、四〇六、一〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により所得税一六七、一九四、九〇〇円を免れ、

第三  昭和五七年分の所得金額が一三〇、一三〇、三三六円で、これに対する所得税額が七九、九七九、八〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により、右所得の一部を秘匿した上、同五八年三月一五日、前記税務署において、同税務署長に対し、同年分の所得金額が四一、〇一〇、三二六円で、これに対する所得税額が一六、三七一、五〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により所得税六三、六〇八、三〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一  被告人の検察官に対する供述調書

一  被告人の収税官吏に対する各質問てん末書

一  藤山純一、西村千年、岡田フミ、伊藤勇夫の検察官に対する各供述調書

一  岡田フミ、伊藤勇夫の収税官吏に対する各質問てん末書

一  収税官吏作成の各査察官調査書

一  収税官吏作成の各脱税額計算書

一  税務署長作成の各所得税確定申告書謄本

(法令の適用)

判示第一の所為

行為時においては、昭和五六年法律第五四号による改正前の所得税法二三八条一項に、裁判時においては右改正後の同法二三八条一項に該当、刑法六条、一〇条により軽い行為時法の刑による、懲役刑と罰金刑を併科し、情状により所得税法二三八条二項

判示第二、第三の各所為

右改正後の所得税法二三八条一項、各懲役刑と罰金刑を併科し、情状により同条二項

併合加重

刑法四五条前段、懲役刑につき同法四七条本文、一〇条(犯情の重い判示第二の懲役刑に加重)、罰金刑につき同法四八条

換刑留置処分(罰金刑につき)

刑法一八条

執行猶予(懲役刑につき)

刑法二五条一項

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 柴田秀樹)

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